Entries from October 2007

Friday, October 26th, 2007

人殺し国家でいいじゃない

なかなかエントリできずにすみません。
 もういちどだけ、チベット人銃殺事件についてふれさせてください。
 週刊新潮に中国の共産党中央の権力闘争の記事が出て、このチベットの事件も「「少年僧惨殺」も暴露された「人権弾圧国家」中国」というタイトルで触れられています。
 でも、こんな表現じゃ生温い。人権弾圧どころか、殺人国家じゃないの。
 中国の今の建前ではチベット人は中国国民なんですよ。その国民に銃を向けたのです。日本で自衛隊が日本国民を攻撃するなんてことがあるでしょうか。日本の警察官は刃物を向けられたって威嚇射撃するだけです。日本の領海を不法に侵犯した中国人活動家に対してさえ、銃撃なんてしないんだよ。
 人権という言葉は人を惑わすのでこういうふうには使わないでほしいです。日本の人権団体からすれば、日本だって立派な人権弾圧国家なんでしょうからね。日本と中国じゃまるで違うのに。
 全く、チベットは千年以上も前から中国の離れられない一部だったとか何とかぬかすくせに、チベット人の命はどうだっていいんですから。ああそうか、必要なのはチベットの土地と資源だけで、チベット人は要らないんでしたね。
 東トルキスタンだってそうですもん。「中国は新疆は必要だが、親疆人(東トルキスタン人の蔑称)は要らない」んでしたね。私の古い知り合いのウイグル人の言葉です。
 テロという言葉は本来恐怖政治というような意味です。つまり人々を暴力で支配し、押さえ込むことなのです。こうやって考えると、だれがテロリストなのかということは自ずと明白になるのではないでしょうか。
 中国はウイグル人独立運動家でトルコ亡命中のアブドカディル・ヤプチャン氏をずっとテロリスト呼ばわりし、氏を難民と認定した国連に認定を取り消すように求めています。トルコ政府も、「国連が取り消したら、あなたを中国に引き渡すか、国外退去させます」といっています。
 アブドカディル氏はひとりも人を殺したことなどないのにですよ。アブドカディル氏は中国内にいたときに何度も逮捕されましたが、そのときは一度もテロリストの嫌疑はかけられなかったと語っておられます。彼が国外に脱出したあと、9.11同時多発テロが起こりましたが、中国はそのあとアブドカディル氏をテロリストだといいはじめたのです。
 残念ながらノーベル平和賞を逃したラビア・カディル女史をテロリスト呼ばわりしてるのも最近だしね。まあ、平和賞を取られると困るから、大騒ぎしたのでしょうが。そんなにテロリストだっていうなら、ラビア女史が中国国内にいたときにテロリストの罪で有罪にすればよかったじゃないの。アメリカ在住の夫に新聞記事を送ろうとしたなんてわけのわからん罪状じゃなくてさ。
 中国ではこのように罪もあとからなすりつけます。でもそのでっちあげの罪のせいで命の危険にさらされている人は世界中にいるのです。今や中国の外にいたって、中国の追求からは逃れきれないんですから。アブドカディル氏の身も全く保証されていませんし、ラビア女史はアメリカにいるのに、何度も暗殺されそうになっているのです。
 いずれがテロリストか、国際社会には今一度考えていただきたい。中国は自国民を虫けらのように殺しているのです。オリンピックを控えた今でも。そしてその映像は世界に広がり、多くの人の目に留まっているのですから。
(こういうときだけ、チベット人は中国人じゃないとかいうなよ〜)。
by akiko_os | 2006-10-28 23:48 | 中国にまつわる激怒情報

Friday, October 26th, 2007

少数民族事業

■[雑]少数民族事業 14:23
現在中国は「第11次5カ年計画」の真っ最中ですが、その一環として少数民族の生活向上などを策定する、少数民族事業というものが発表されました。これは、中華人民共和国になってから初の「計画」制定らしいです。5カ年計画なので、2010年までに~を行うという計画になっていまして、以下の 「6大主要予期指標」が掲げられています。
 
1. 民族自治地方都市と鎮住民一人当りの可処分所得及び農村住民一人当たりの所得の年間成長速度を全国平均水準より 1ポイント高め、都市と農村住民所得の比率において現在の水準を確保する。
2. 民族自治地方 ‘9年制普及’ 人口の普及率を 95%以上に達することを目指し、 9年の義務教育を全面的に普及する目標を実現する。
3. 少数民族の乳児死亡率を 2005年より 5%低くする。
4.少数民族文字の出版物の種類を 2005年より 20% 増加させ、少数民族文字の出版物印刷量を 2005年より 25% 伸ばす。
5.少数民族各種の人材の業種人口比重を 2005年より 0.5% 高め、全国総人口のうち少数民族が占める比重に基本的に接近させる。
6.民族自治地方都市(鎮)化率を 2005年より 5%高める。
 
そして、重点プロジェクトとして、以下の11のプロジェクトを定めました。
極貧の少数民族大衆に対する問題解決プロジェクト
民族基礎教育の支援プロジェクト
民族大学建設プロジェクト
少数民族伝統医薬発展プロジェクト
少数民族文化発展プロジェクト
少数民族人材陣容養成プロジェクト
民族法制体系建設プロジェクト
少数民族対外交流協力プロジェクト
民族事務管理情報化建設プロジェクト
少数民族現状態調査プロジェクト
民族事務サービス体系建設プロジェクト
 
 [社会] 国務院、少数民族事業 ‘11.5′計画を発表 より)
 
 
今までは生活水準の低い少数民族の環境改善という政策が多かった訳ですが、少数民族の文化的な面についても計画の中に入れられていて、ちょっと期待してしまいます。
ただし、例えば
少数民族の言語を救え!データベース構築
 国家民族事務委員会(国家民委)は29日、「少数民族事業『第11次5ヶ年規画(2006~2010年)計画』を発表。消滅の危機に瀕している少数民族の言語や文字を調査、収集、研究、整理し、データベースを構築する。
 
 国家民委は、普通話(共通語)や漢字を普及させると同時に、少数民族言語の規範化や情報化、統一化を図り、多言語環境モデル区を設立するなど、少数民族言語の使用促進や発展支援に従事している。
 
 また、少数民族言語の書籍出版にも力を入れているほか、少数民族言語を用いたテレビ番組や映画の放送を行い、辺境に暮らす少数民族の人たちのための放送普及にも取り組んでいる。
 
 そのほか、少数民族言語の翻訳チームも組織し、少数民族言語の翻訳資格制度を樹立したり、多地域の渡る少数民族言語の統一事業にも着手する。
で書かれているような、消滅しかかっている少数民族の言語というのは、漢語を用いなければ生活が成り立たないような少数民族言語の保存という意味では必要なものであると思います。満族のように漢族との生活環境が近すぎて、漢語を使わざるを得なくなったため、絶滅しかけている言語のようなものです。あとは人口がごく少ない少数民族の言語も当てはまるでしょうか。
(ちなみに、現在新疆にいるシボ族ですが、彼らは満州語に属するシボ語を使用しています。満族が使わなくなった満州語を使う民族として貴重なものだと言われています。)
それで、東トルキスタンとチベットの場合ですが、これは政府が放っておけば消滅するような言語とは言えません。逆に、政府による大量の漢族移住が、ウイグル語やチベット語を消滅させる危機を生んでいると言えます。学校教育からウイグル語を排除しようとしていますしね。
 
また
少数民族の文化遺産保護を強化
  
国家民族事務委員会(民委)が29日公布した「少数民族事業の第11次5ヶ年規画(2006~2010年)」に基づき、中国は少数民族の文化遺産の保護、救済、発掘、整理、展示・宣伝業務をいっそう強化する。
 
 国家民委の丹珠昴副主任は「特色ある少数民族の文化は中華文化とは切り離せない重要な構成要素であるが、現在の中国の少数民族文化事業は発展が後れ、需要に応えられていない」と指摘した。
 
 「少数民族事業の第11次5ヶ年規画」の要求に基づき、国は民族文化の面影が残る街や集落を活かして、民族色のある博物館や文化財資料保護展示センターを建設するほか、少数民族の文化社区(※注)や文化生態区をつくり、計画的な保護、保存活動を展開する。
 
 さらに少数民族の古文書を保護、収集、整理、翻訳し、民族別の「中国少数民族古籍総目提要」を編纂・出版する計画だ。また、少数民族の文化財収集・収蔵への取り組みを強化し、実物資料のデータベースを作成すると同時に、少数民族の伝統手工芸の保護や継承を重視し、継承者の育成に注力する。
 
 このほか、民族自治地方基層文化チームを組織して少数民族文化の育成ネットワーク基地を確立する。遠隔教育や集中訓練などさまざまな形で少数民族文化人材を育成する。少数民族の伝統スポーツを研究し、選手を育成し普及を図る。全国の少数民族による文芸会や伝統スポーツ大会、重要な伝統的祝日の集会を開催する、などが挙げられている。
 
(※注=社区:一定地域の範囲内に住む人々によって構成される社会生活の共同体)
というように、文化遺産の保護、救済、発掘、整理、展示・宣伝業務を強化していくそうです。これも全くもって結構なことですが、その保護すべき文化は、「特色ある少数民族の文化は中華文化とは切り離せない重要な構成要素である」と見ているわけです。
結局は偉大な中華文化の一要素を守りましょう、程度の認識で保存活動に取り組むくらいしかできないでしょう。もともとは「化外の民」として完全に侮蔑していたくせに、何を今更という感じです。
また、この前提を覆すようなものは絶対に許さないであろうことも確実です。焚書の対象となった、ムハンマド・イミン・ブグラの「東トルキスタン史」も、トゥルグン・アルマスの「匈奴簡史」、「ウイグル古代文学」、「ウイグル人」(ウイグル歴史)も、少数民族の文化を扱っていますが、許可できるわけがありませんしね。イスラームの信仰を抑圧していますし、そしてダライ・ラマという存在そのものも少数民族の文化といえるわけですが、こういったものは中華文化の一要素と見ることはできないでしょうね。
 
なんにせよ、少数民族事業は、チベットや東トルキスタンの分離・独立志向の抑制も狙いとして立てられた計画であることは、皆よくわかっているようです。
 
 
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/20070330/20070330_001.shtml
少数民族に5カ年計画 生活向上へ中国が策定 独立・分離抑止も狙う
 【北京29日傍示文昭】中国国家民族事務委員会は29日、記者会見し、少数民族の教育・医療水準の向上などを図るため「5カ年計画」を策定したと発表した。生活水準の低い少数民族の環境を改善する一方で、チベット自治区や新疆ウイグル自治区など少数民族地域に根強く残る分離・独立志向を抑制するのが狙いとみられる。
 同委員会によると、中国には漢民族以外に55の少数民族が居住。人口は1億人余で、総人口の8.4%を占めるほか、少数民族自治地域は国土の63.7%に上る。一方で、貧困人口は1170万人に上り、貧困人口全体の49.5%を占めるなど、少数民族の生活実態は依然厳しい状況が続いている。
 このため、5カ年計画は「民生問題」の解決を強調。主要な項目として(1)経済発展に必要な条件の整備(2)教育・科学技術水準の向上(3)衛生・医療事業の推進(4)文化事業の発展‐などを掲げ、生活環境の改善に力を入れるとしている。
 特に、教育問題では2010年までに少数民族の義務教育普及率を95%まで引き上げるなど、具体的な目標を設定した。少数民族を含む中国全体の同普及率は現在、85%にとどまっている。
=2007/03/30付 西日本新聞朝刊=
 
また、ウイグル・アメリカ協会なども、自身で声明を出していませんが、次のようなニュースをニュースとして載せています。
http://uyghuramerican.org/articles/857/1/Beijing-aims-to-increase-its-control-of-ethnic-minorities/index.html
http://www.asianews.it/index.php?l=en&art=8884&size=A
 
Beijing aims to increase its control of ethnic minorities
北京は少数民族のコントロールの強化を狙っている
 
以下超訳
中央政府は55の少数民族の境遇改善のための計画を発表した。それらの民族は社会的にも最貧グループに属し、彼らの不満は暴力的な抗議活動として爆発することもある。しかしアナリストは、北京はただ単によりすばらしいコントロールの手法を導入したいだけであると分析している。
これは、第11次5ヶ年規画の中で特に55の少数民族について発表された、最初のものである。この計画はインフラと環境の改善を目標に掲げ、ある専門分野に特化した経済の発展をサポートし、貧困から救済し、福祉の状態を向上させ、民族の関係をより円満にさせることである。
昨日の記者会見で、国家民族事務委員会の副主任Danzhu Angbenは、人口10万人以下の22の少数民族は、貧困かの解消のために毎年1億1200万元を財務省から受け取ると言った。彼は「中国では民族グループの地位は平等であり、融和している。人種差別はない。」と言ってる。
国家の急速な経済発展は、農村部における貧困を解消できていない。未だに農村部は社会的サービスが欠如し、甚大な環境汚染に悩まされている。そして北京政府は、暴力的な抗議行動にまで至る社会不安の原因は、経済的な発展の遅れによると説明している。しかし専門家らは、その地域にいる漢族グループが起した人権侵害が主因であろうと分析している。これの例として、雲南省で起きた、ダムの建設に対しての少数民族の抗議活動がある。
さらに北京政府は長期間に渡って、チベットや新疆のように異なった伝統と文化をもつ地域へ、漢族が移住するような政策を採っている。辺境への移住者を優遇し、当地での漢族によるビジネスを促進し、地方政府のポストへ就任させ、そして現地語の使用を禁止することすら行っている。政府は、政府への抗議を少しでも食い止めるために、これらの地域の経済的な不安を取り除くことを約束し、これらの少数民族への制御システムを2010年までに構築し、「分離主義者の活動を排除し、国家の安定を保持する」とし言っている。そして北京政府は、はじめて学校のバイリンガルの教師を「増やす」と言い、その教師は漢語と現地語の両方を話すだろうと言っている。
中国は、新疆は他の地域に比べて、言語も伝統も中央アジアにリンクしているイスラム教のウイグル族の故郷であることから、過激派の暴力を生み出す元になり得ると主張している。また、ダライラマの指導の下に、チベットの分離の試みの恐れがあるとし、彼の写真を持つ人を罰している。
 
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Friday, October 26th, 2007

東トルキスタン亡命政府の分裂

 私のブログの読者に、殿岡事務所発行の「中国民族問題研究」の読者の方がどれぐらいいらっしゃるでしょうか。殿岡事務所はずっと東トルキスタン亡命政府日本名誉領事館を名乗ってきましたが、昨年の秋ごろからはほとんど亡命政府とは関わっていなかったはずです。
 今回の「中国民族問題研究」10号で、ようやく日本名誉領事館を返上するということが掲載されましたので、私も堂々とここに書くことができます。
 2ちゃんねるの方がやっていらっしゃる「東トルキスタンを救おう」のページにも、殿岡事務所の活動のことがかなり出ているようですが、実際には亡命政府とは関係ありません。ただ、日本のウイグル人留学生の方々や亡命政府以外の海外のウイグル人の方とは連携しているようではありますが、ここら辺をしっかり把握しないと、いろいろ見誤ることになると思います。
 この「中国民族問題研究」には、昨年「ウイグル太郎に政治利用された」という殿岡先生の文章が載りました。昨年、トルコのヤルタでトルコ民族文化祭が行なわれ、中央アジアなどのトルコ系民族に混じって東トルキスタン亡命政府も招待され、日本名誉領事も参加しました。このとき実はトルコ側からあらかじめ、「東トルキスタン国旗をあげるな」というお達しがあったというのです。しかし、ウイグル太郎氏はそれを知っていながら、殿岡先生に伝えず、国旗を掲げるために先生たちを利用したと先生は書いておられます。
 私はそれを読んで、これは大変だと思って、ウイグル太郎氏に「あんた、なんてことしたのよ」とメールしました。しかし、太郎氏は、それは先生の誤解だと返事されました。太郎氏も国旗をあげてはいけないとは知らなかったというのです。このころの亡命政府の首脳はトルコ在住のアフメット氏やアブドウェリ・ジャン氏などで、この人たちのほうがウイグル太郎氏よりも偉く、直接トルコ政府関係者と連絡していたようですが、彼らは太郎氏にきちんと下達していなかったようなのです。
 なけなしの生活費で立て替えて、この旗を注文したと太郎氏はおっしゃっていました。お金もないのにあげられない旗をそんなに作ると思いますかと太郎氏。
 私はこのままだと、日本の読者が全員あなたが先生を政治利用したと思いこむことになるから、先生に講義して、訂正記事も載せてもらうほうがいいといいましたが、彼が先生にそう伝えても、先生が訂正することはありませんでした。ただ、私自身現場にいなかったので、ウイグル太郎氏の態度に誤解を招くようなものがあった可能性もあります(ウイグル人と日本人ではちょっとした態度や行動も全然違うし)。が、とにかく双方の言い分が出ないと不公平だという考え方から、ここに以上のことを書きました。
 実際このごたごたは、このトルコ民族の文化祭のために、トルコを訪れたエニウェル氏の入国を、中国が阻止したところからはじまったのでした。中国がやったことが1ぐらいとすると、その効果は10にもなったでしょう。エニウェル氏があそこでトルコ入国していれば、今の亡命政府のあり方もずいぶん変わったと思います。
 エニウェル氏がトルコに入れなかったためか、それ以外の理由もあったかもしれませんが、残りの主要メンバーがエニウェル氏を追い出そうとしたのです。それに対してエニウェル氏と何人かのメンバーは自分を追放しようとしたメンバーを追放したわけです。それでどっちも亡命政府を名乗るという事態になってしまいました。ただ、私はこれについてはエニウェル派のいい分しかきいておりません。それはご了承ください。
 ただ、エニウェル氏以外のメンバーとは、トルコやオーストラリア在住のウイグル人です。しかし、亡命政府がオーストラリアにあっても意味がないので、私はワシントンを亡命政府と考えることにしました(日本のマスコミはワシントンにあるから少しは興味を持ってくれたのであって、オーストラリアじゃ相手にされっこない)。やはりワシントンのキャピタルヒルで行なわれた亡命政府の成立式典や、憲法発布などは、すべてエニウェル氏なしにはできなかったことですから。
 ただ、この内紛の場にいた殿岡先生はウイグル人にうんざりしてしまったようです。実際昨年の9月ごろから、ウイグル太郎氏の文章はこの民族問題研究に一切出ていません。先生の「政治利用された」という文章は、事実上のウイグル太郎おろしでした。太郎氏が、日本に東トルキスタン問題を広めるためにした貢献を考えると、これはまことに残念です。
 私も彼の書いたことすべてをうのみにしているわけではありません。しかし、日本にある資料や日本に提供される情報が中国よりなのもまた事実。というか、ウイグル側からの情報は皆無に等しかったのです。あの『東トルキスタン共和国研究』だって、漢族が書いたものなのですから。同じようなことをしようとしたウイグル人のトフティさんは逮捕されてしまいましたし。
 私たちの得る情報や、それによった価値観や発想がいかに中国よりに凝り固まっていたかを、私は太郎氏に教えてもらったのです。これは東トルキスタン問題だけにいえることではありません。
 ウイグル人が達者な日本語で民族の心の叫びを書いたのです。これはほかのだれにもまねできることではありませんし、決して軽視するべきではないと思います。
 ただ、現在のワシントンの状況もまた困った状態で。実は、このエントリ
(お時間があるなら、この中にリンクされている「故郷を人質に取られたウイグル人」も読んでくださいね)で書いたのですが、昨年、故郷に帰ったウイグル人とはエニウェル氏だったのです。中国はエニウェル氏のトルコへの入国は全力で阻止したのに、自国への里帰りのビザは出したんですよ!
 エニウェル氏の父親が亡くなったので、お葬式をするために、里帰りしてしまったのです。そのために、亡命政府のメンバーや議員は中国に行ってはいけないという憲法の条文まで変えて。それで海外のウイグル人社会では、エニウェル批判が吹き荒れたようなのです。
 エニウェル氏にインタビューしたことがありますが、彼は結局自分の父親が強制労働で牛馬のように働かされ、人間扱いされなかったのを目の当たりにして、中国共産党への憎悪を強めた人間です。ですから、現在の彼の行動の原点は父親への尊敬と愛情なのです。それを知っているので、私は彼のこの行動を一方的には批判できません。
 でも実際は帰りたくても帰れないウイグル人がほとんど。子どもだけが中国にいて、何年も離ればなれなどというケースも珍しくないのです。もちろん、自分の親と会えない人も多いです。それなのに、自分だけ帰ってしまっては、裏切りとみなされても仕方ありません。中国政府はエニウェル氏の入国を許しただけで、彼をウイグル人社会から孤立させるのに成功しました。
 彼を擁護していると、自分の立場も悪くなってしまうということで、ウイグル太郎氏はエニウェル氏と距離を置いていますし、そのせいかどうかはわかりませんが、政府のページからウイグル太郎氏の日本語ページは消えてしまっています。
http://www.eastturkistangovernmentinexile.us/
 私が日本人のみなさまに申し上げたいのは、現在のウイグル人社会がまとまることがいかに難しいかということです。やはり国を持っている相手のほうが何かと有利で、分離工作も易々とできます。それに難民状態になったり、ほかの国の国籍をもらったりすると、自分がお世話になっている国に配慮せざるをえなくなります。アメリカにいれば、東トルキスタンをイスラム国家にしようとはいいにくくなります。ドイツにいたら、トルコにいたら、それはいろいろあるでしょう。
 クルド人なんて、クルド人どうしでイランとイラクの代理戦争をやっていたこともあるぐらいですから。国がないとはそういうことなのです。だから、愛国心を持たないと大変なことになりますし、日本でももっと愛国教育をしたほうがいいのです。国がないとどれほど大変なことになるが、それを知ればだれもがもっと国を大切にするようになるでしょう。
 私はウイグル太郎氏がしてきたことを評価というのはおこがましいですが、重視していますので、しばらくは太郎氏支持で行こうと思います。ウイグル太郎氏に支援したい、まだまだ彼の新しい文章を読みたいという方は、東トルキスタンネットに援助すればいいかと。
 もちろん、ワシントンに亡命政府があるのがいい!とお思いなら、ワシントンを支持されたらどうでしょう。でも、今のワシントンに寄付するには、どこに送金したらいいかは私にはわかりません。
 殿岡先生の活動を支持されるというならそれでもいいのです。先生のやっておられることも、だれにでもまねできることではありません。
 ただ、これらの組織と個人がまとまることはもうないでしょう。
 こんな有様なので、私も今年はとてもノンフィクション大賞には応募できませんでした。現状では亡命政府や海外組織というネタ自体にノンフィクションとしての価値がないです。もう世界ウイグル会議や、ワシントンの亡命政府のことを取材するのもやめようと思っています。
 ただ、世界中から誤解されている人、中国共産党に反論しようとしているだけなのにテロリスト扱いされている人、本当に困っている人のことは支持したいし、助けたいと思います。ただ、これも書けば書くほど相手に迷惑をかけるし、私も苦しいです。
# by akiko_os | 2006-05-17 12:46 | 悲しいこと桜の美しさを見ると、余計に悲しくなります
 詳細は書けませんが、また悲しいことがありました。はっきりいって奈落の底に突き落とされました。一応最悪の事態は回避しましたが。
 ウイグル人は困っています。さんざんいろいろなことを書きましたけれど、私が生半可な気持ちでウイグル人を支持していると思われたくなかったし、なぜウイグル人がまとまらないか説明したかったからでもあります。それに東トルキスタンを支持しようとする方にはあらかじめウイグル人の性格を知っておいてほしいのです。結局「なんだ、ウイグルってこんな連中だったのか」と中途半端に去っていかれると、かえってウイグル人をひどく傷つけてしまいます。
 でも、今回ばかりはというか、今までこの問題を取材してきて、これほど苦しかったことはありません。
 
 もちろん国内でも、国外でも、妥協しているウイグル人は安泰かもしれません。でも国のために正義を貫こうとした方はリスクにさらされています。あの、日本の国を売るまいとして、自殺に追い込まれた日本の上海総領事館員の方のように。
 あの方だって、開き直ったり、中国の要求に屈したりしていれば、命まで失うことはなかったのですよ。でも、正義を貫いた結果、あのような選択をするしかなかったのです。
 中国に逆らうということはそういうことなのですね。
 でも、もっと国とか、組織とか力を持っている人にやるべきことをやってほしいですよ。日本では外務省のような組織さえ、中国に対しては事なかれ主義を貫く。自分のスタッフを殺されてもその態度は変わりません。
 でも、それではいけないのです。今のまま中国を放置しておけば、犠牲者は増えるでしょう。
 中国が持っているのは格安労働力と幻の巨大市場だけです。でも、それは中国以外にもあるものではありませんか?
 そして現在進行形の軍事力。でもこれだって中国にお金がいかないようにして、発展させないようにすればいいだけじゃありませんか。日本だって法律さえ変えれば、中国以上の軍事力が今よりスムーズに使えるようになるのじゃありませんか。中国は自分以上の力を持つ国には決して無理をしません。アメリカに対する態度を見ていればそれは明白です。
 まあ中国はものすごくしつこいですけどね。それは日本人だけでなく、世界中のどの国もうんざりしていると思います。国連も。でもそれに屈してはならないのです。しかるべき力を持っている人に、もっと動いてほしいです。中国を恐れずに行動してほしいです。
# by akiko_os | 2006-04-01 00:09 | 悲しいこと

Friday, October 26th, 2007

9.11がウイグル人にもたらした災難

Friday, October 26th, 2007

計画生育について

[弾圧]計画生育について 14:21
 
日本のマスコミが「一人っ子政策」と訳す、「計画生育政策」についてです。
関係する法律としては、
中華人民共和国婚姻法
(2001年4月28日施行)
中華人民共和国の人口と計画生育法
(2001年12月29日施行)
があり、これに各省や自治区毎の条例がきます。
新疆ウイグル自治区では、
新疆ウイグル自治区の人口と計画生育の条例
(2002年の月の11月28日施行)
になります。
 
まず『中華人民共和国婚姻法』では、婚姻年齢を男性満22歳、女性満20歳と定めています。これは他国と比べても高齢に設定されています。晩婚および晩育(出産年齢を遅らせること)を奨励すべきであるとしています。
また優生学的な面から、
直系血族および三代以内の傍系血族、
医学上結婚すべきではないと認められる疾病に罹患している者、
の結婚を禁止しています。
 
次に、『中華人民共和国の人口と計画生育法』で、計画生育を実施する夫婦に対しての優遇措置などを定めています。晩婚や晩育を奨励し、実施者に対しては各種社会保障制度を設けるよう支持しています。
そして、生涯の子供を一人だけと宣言した夫婦には、国が「独生子女父母光栄証」を交付することを決めています。これを得ると、各自治体の関連規定によって優遇措置を受けることができることになっています。
 
『新疆ウイグル自治区の人口と計画生育の条例』が、東トルキスタンの人々が実際に適用される規定になっています。
まず、人口と計画生育については、各レベルの人民政府が責任をもつこととされています。そして人々は、地域の基層単位である「郷」や「街道」に結び付けられて管理されています。
また企業、国家機関、社会団体などは、人民政府に協力して、人口と計画生育に取り組むよう求められています。
 
計画生育の規定については、主に以下のような内容になっています。
漢族の男性満25歳、女性満23歳、少数民族は男性満23歳、女性21歳で初婚を迎えれば晩婚とする。晩婚で結婚後出産した場合を晩育とする。
都市部の漢族の一組の夫婦は1人の子女を産むことができ、少数民族の一組の夫婦は2人の子女を産むことができる。農村部の漢族の一組の夫婦は2人の子女を産むことができ、少数民族は3人の子女を産むことができる。夫婦の一方が少数民族の場合は少数民族の規定、夫婦の一方が都市部の住民の場合は都市部での規定に従う。
法律に基づいて結婚登記を行い、計画生育の用件に適合し、更に女性側の戸籍所在地の郷政府あるいは街道弁事所から許可をもらってから、出産することができる。
次の条件に適合する場合には県の計画生育行政部門の審査を通して、更に一人の子女を出産できる。傷痍軍人、公務で傷害を負った者、結婚後不妊で『修養法』(養子法)に準じて養子を持った者、油井作業5年以上の者、夫婦双方が一人っ子、既にいる子が正常な労働力にならない者。
前子より3年以上あけなければ、2人以上の子を持ってはならない。
  
この規定に従う者には褒章が与えられます。
都市部の国家公務員、団体職員、企業の従業員で晩婚の者には結婚休暇を+20日、晩育は産休を+30日、男性にも看護休を+15日上乗せされる。
農村部では、晩婚・晩育両方に対して、集団生産、公益事業労働の1年間の減免、あるいは現地人民政府から奨励金を受け取ることができる。
「独生子女父母光栄証」を受け取ると、子供が満16歳になるまで毎月10元以上の保険費を受給でき、また企業などの退職金に賃金の5%の奨励金を上乗せ、または2,000元以上の一次奨励金を受け取ることができる。 
 
違反者に対しては以下のような罰則が加えられます。
都市部では前年の当該県住民の平均収入1-8倍、農村部なら農民の純収入の1-8倍の社会養育費を徴収する。
3年を空けずに子供を産んだ場合は、その期間に応じて平均年収を基準として社会養育費を徴収する。
就業者に違反者がいる場合には、その企業などが出生と養育費についての管理をしなければならない。昇級・昇進などは3年据え置き、場合によっては行政処分を行うこと。
農村では3年間集団の福祉を受けてはならない。
「独生子女父母光栄証」を受けていた場合は、優遇措置を停止し、すでに受けていた保険費や報奨金を返却すること。
 
 
国→自治区→地区・市→県→郷・街道 というように各レベルでの責任制になっており、各年の目標値を達成したか否かで報奨金や賞罰金がやりとりされます。そのため、出産許可のない計画外出産をすれば、その夫婦だけでなくその地域の担当者までもが処罰の対象となります。このため出産適齢の夫婦には専任の担当者がつけられることになるので、かなりの圧力がかけられることになります。
これが強制中絶へとつながっていきます。
 
少数民族は漢族に比べれば優遇されているという言い訳をする人がいます。
しかし東トルキスタンの人々から見るならば、人口爆発を起こしているのは漢族であって、自分たちはそのとばっちりを受けているということに他なりません。
計画生育によって起こされている問題、闇子や高齢化社会、男女比の不均衡など、これからの問題は山積みです。
 
中華人民共和国になってすぐのころには、人口の多さ=国の重要な財産ということで人口増加政策をとっていました。しかし、1953年に初めて行われた人口センサスで、予想を遥かに超える人口を抱えていることに気が付き、計画出産を公式に奨励しました。
しかしこれも長続きせず、50年代後半にはどのような理論の元に産児制限するべきかという「人口論論争」が始まりました。また大躍進政策の失敗によって多くの飢餓と、農業・工業の失敗を生み出したにも関わらず、人口増加=経済発展という理論による多子奨励が主流となりました。
大躍進・文化大革命期の現実離れした政策は、大量の餓死者を生み出しただけでなく、人口政策上で取り返しのつかない失態を犯したのです。また大躍進が終わったあとであっても、人民の不安を煽ることがあってはならないという政治的判断によって、計画出産活動が開始されるまでにはしばらくの時間がかかり、結局1972年までは再開されることがありませんでした。この間、大躍進期の人口減少に対する反動として第一次ベビーブームが起こっており、手をこまねいているうちに大量の人口増加を生み出すことになりました。国策としての本格的な取り組みは79年からで、80年からは「公開書簡」で宣言され軌道に乗っていくことになりました。
 
もし、早くから適切な人口政策をとっていたなら、現在のような苛烈な計画生育政策は、漢族に対しても必要なかったのではないでしょうか。
 
 
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Friday, October 26th, 2007

以下は9月27日に、グルジャさんというハンドルネームの方から頂いたメールです。

こんにちは
今Urumuqの某大学に勤めている友人と電話で話したのですが、昨日ウルムチにある警察学校では大規模な衝突がおき、死者がでた模様。今日は各大学等には政府の通達が伝えられ、緊迫した情勢とのこと。もちろん通達では死者が出ていないとの説明でしたが、友人の話では、ウイグルと漢族の衝突で政府によって武力で鎮圧されたとのこと。友人の話では、最近ラビア氏の活動がインタネットで伝えられていることにより、現地では政府のコントロールが強める一方とのこと。
今イスラムのラマダン月で、中国政府がいくら干渉しても、ウイグルの人々は静かに、こっそりと断食する人もいる。自由な国日本では信じられないことですが、友人の話では、学校では、夜学生寮に見回りを派遣し、夜中に食事している人いるかどうか、
トイレで儀式(断食をする前に行なう身を清める儀式)している学生がいるかどうかをチエックしているそうです。
人間として最低限の尊厳でさえも奪われている現実、胸が痛む話です。しかし多くの同胞がその窮屈な環境で生き続かなければならない。(電話を片手に書きました)
もう一つ、10月14日に現地の人から電話で聞いた内容ですが、僕がまとめました。
今年のラマダン明けのローズ祭は10月14日でしたが、それに先立つ礼拝(ナマズ)が中国政府によって開始時間が1時間早められたそうです。おかげでこの礼拝に参加できなかった人が大勢いたそうです。
ラマダンは日の出から日没まで飲食をしないという宗教行事なので、ローズ祭もナマズも当然宗教的に決まった開始時間があるのですが、中国では政府が決めるそうです。
また大学では学生に昼ご飯代を出して、みんなで昼ご飯を食べ、ラマダンしないようにさせたそうです。
一年中昼ご飯代を出してくれるなら有難いでしょうけど、ラマダンの時期だけやるのだそうです。
また学校の先生は、受け持ちの学生宅に行き、ラマダンや礼拝など宗教的な活動を行っていないか監視するよう言われているそうです。
ついでに、今は綿花の収穫の時期ですが、大学の学生が狩り出され収穫するよう言われているようです。
ノルマが決められており、これに足りない場合には自腹を切って足りない分をお金で支払うのだそうです。
いままでは農業大学で行われていたそうですけど、今年からは全ての大学の学生が対象になったようです。
学生を綿花収穫に狩り出すことは旧ソ連でもウズベキスタンなどで行われていましたが、中国でも始まったようです。
他にも色々な地域への「労働奉仕」があるんでしょうけど、これに綿花収穫が加わったんですね。
 
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Friday, October 26th, 2007

知れば誰でも激怒する

またまたイスラム教徒が激怒
 まず、お知らせです。英文スパム対策がほかにもありましたので、とりあえず、TBしていただく文章にこちらをリンクしていただく必要はなくなりました。そんな面倒なことをしなくてもTBできますので、よろしかったらやってみてください。
 
 ただ、そうすると日本語スパムが来るんですが、しょうがないですね。
 実は先週末からひどい風邪を引いて寝込んでおりました。熱が39度ぐらいまであがりまして、頭蓋骨の内側からハンマーでがんがん叩かれているみたいに頭が痛みましてね。脳炎になったかと思ったけれども、夏風邪だったようです(って大げさだよ!)。
 まあ、夏風邪は質が悪いとよく聞きますので、みなさまもお気をつけくださいましね。
 で、人が寝込んでいる間に、世界ではこんな騒ぎが起きていたようで。
<ローマ法王>「聖戦」批判演説にイスラム社会の反発広がる
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060915-00000141-mai-int 
「【ローマ海保真人】ローマ法王ベネディクト16世がイスラム原理主義の「聖戦」を批判した演説に対してイスラム社会で法王を非難する動きが拡大している。パキスタン下院議会が15日、法王に発言撤回を求める決議を採択したのをはじめ、イラン、インドネシア、トルコなどでもイスラム教指導者が反発し、一部が抗議行動を呼び掛けた。ローマ法王庁(バチカン)は釈明し、火消しに躍起になっている。
 法王はドイツ訪問中の12日、大学での演説で「ジハード(聖戦)は神に反する」と述べ、テロの宗教的根拠を否定。さらに、イスラム教の預言者ムハンマドが「戦いの指揮により邪悪と残酷さをもたらした」という14世紀のビザンチン帝国皇帝の言葉を引用した。
 ムハンマドに関する発言が特にイスラム社会で反発を招き、パキスタン下院議会は決議で「法王発言はイスラム教徒の感情を傷つけた」と発言の撤回を要求。また、イランの有力なイスラム教指導者は「法王はイスラム教を侮辱した」と非難した。
 さらにロイター通信によると、インドネシアのイスラム教指導者は「法王はイスラム教を正しく理解していない」と指摘し、信徒に抗議行動を起こすよう呼び掛けた。トルコ政府の宗教担当高官も発言について「極めて遺憾だ」と述べ、11月末に予定されている法王のトルコ訪問に疑問を呈した。エジプトやヨルダンなどでも法王に謝罪を求める声が高まっている。
 一方、パレスチナ自治区ガザ市にあるギリシャ正教会の施設では15日、小規模の爆発が起きたが、法王発言に対する反発によるものかどうかは分かっていない。
 バチカンのロンバルディ報道官は声明で「法王はジハード思想について深く踏み込むつもりはなく、イスラム教徒の感情を害する気持ちもない。ただ、暴力のために宗教を動機とすることを明確に否定したいだけだ」と述べた。報道官は法王がイスラム教との調和を求める姿勢に変わりがないことを強調した。
 だが、今年初めにはデンマークの新聞が掲載したムハンマドの風刺画をきっかけにイスラム教徒が世界規模で抗議行動を起こす騒ぎとなった。今回もキリスト教徒に対する反発がイスラム社会で膨らむ恐れがある。」
(毎日新聞9月15日)
 またまたキリスト教世界が失言ですねえ。いくらなんでもイスラムだけが邪悪ってことはないでしょうに。キリスト教国家だって、さんざん世界に進出して侵略の限りを尽くしたじゃないの。
 それで適当な国境線だとか、もめ事の種だとか、さんざん残して撤退していったわけでね。正直今の世界の紛争の種をまいてったのは、キリスト教世界の方々でしょうとさえいいたいぐらいですよ、こっちは。
 東トルキスタン問題ももちろん一番悪いのは今も占領してどかない中国ですが、そういう状態をもたらした責任はロシアとイギリスにもあります。私が東トルキスタンを問題視していると、それじゃあクルド問題はどうかときかれますが、あの問題も、イギリスや旧ソ連を抜きしては語れなかったかと。
 それと、なんといっても全イスラム教徒の胸に支えた骨のようなパレスチナ問題。あれももともと欧米で差別されてきたユダヤ人の受け皿として、パレスチナ人に犠牲を払わせたことが最大の原因となっているのです。というかこのあたりの事情は『「対テロ戦争」とイスラム世界』(板垣雄三編 岩波書店)に書いてありますので、よろしかったらお読みください。
 ウイグルの近現代史についてよく書いておられる新免康先生も、一部執筆されておられます。例によって、「ここまでなら書いても大丈夫だろう」というギリギリの線を守って書いておられるという感じではございますが。
 今朝のとくダネ!で作家のM女史が「私は無宗教だから、熱くなっている人は理解できない」というようなことをおっしゃっておられました。しかし、熱くなっているのはイスラム教徒ばかりではないのです。聖地イスラエルにこだわって、そこに住んでいた人を追い払ってまで国を作ったのはイスラエルも同様でして。それを維持するために、たくさんのパレスチナ人を殺しているのはイスラエルも同じ。どっちかだけが熱くなっているわけではないのです。
 国連の常任理事国にも、G8にもイスラム国家は入っちゃいないのです。中国や日本も入っているのに。そういう不公平な現実があるわけですよ。イスラムの声はなかなか国際社会に反映されず、報道などもキリスト教国家よりになっていることを忘れてはいけないです。そうでないと、なぜイスラム教徒が怒っているのか、テロが起きるのか、だれにも理解できないし、解決することもできないからです。
 まあ、実際テロを実行してしまうようなイスラム教徒はほんの一握りですよ。あくまで少数派です。でもイスラム教徒全体が様々な不満を抱いています。ですから、勧誘などにつられて危険な組織に入ってしまいがちなのです。
 ただ、いろいろ難しいですよね。ほとんどのイスラム教徒はイスラエルとアメリカとを敵視しています。だから、中国やイランと結びつきたがるわけです。でも、敵が中国である東トルキスタンの場合、どうしてもアメリカかそれに匹敵する大国をたよりにするよりほかありません。でも、そうするとイスラム同胞からの支持は得にくくなりますよねえ。
 アメリカが本気で救いの手を差し伸べるとも思えませんが、それでもそれに頼るしかないでしょう、天から下がってきた蜘蛛の糸をつかむみたいにね。イスラム教徒が束になれば、東トルキスタンを助けられるぐらい力をつけられればいいんでしょうが、キリスト教徒はそこまでお人良しではないでしょう(日本と違って)。
# by akiko_os | 2006-09-19 11:30 | 世界にもある激怒話国連の決議なんて
本日の激怒星★★★☆☆
 どうも、ご無沙汰してしまいましてすみません。ちょっと忙しくて準備不足ですが、これ以上日があいてしまうのも問題なので、エントリしてみます。
 みなさんもご存知のとおり、北朝鮮がミサイルをぶっ放しましたね。それについて、日本が国連で北朝鮮制裁決議を通そうと動き出しました。これに対して中国は北朝鮮を説得するとして、ついに胡錦濤国家主席自らが北朝鮮に説得に赴くとの情報が。
 つまり、それほど中国が追い込まれているという見方と、いやいや中国もうまく時間稼ぎして、外交攻勢をかけて、決議を議長声明に変えさせようとしているという見方などさまざまで、日本の報道も二転三転しています。
 私はこれは中国にとっては大変な事態だと見ています。だってあの北朝鮮を相手に、国家主席が乗り出したっていうんですから。メンツの国中国として、これは大変なことです。もともとあのミサイル発射でメンツはぐだぐだにされております。
 本当は中国が独自制裁を考えたっておかしくないぐらいかと。
 例えていうなら、日本がアメリカの制止を振り切ってどこかにミサイル発射し、これからも発射すると息巻いているのを、ブッシュ大統領がわざわざこちらに来て、やめてくれと説得するようなもでしょ? ブッシュが日本の首脳を呼びつけて「やめろ」というのが普通ではないかと。
 今や、中国の北朝鮮に対する立場ってそんなものなの? まあ金正日も相当ですが、それにしても中国が国家主席のメンツを使わなければ止められないというのは異常だと私は思います。これで仮に北朝鮮が中国のいうことを聞いたとします。中国は自分たちの手柄を吹聴するでしょうが、だまされてはいけません。中国の権威は地に落ちているということは忘れてはいけないです。
 もともと、私は中国がアメリカや日本のために本気で北朝鮮問題を解決する気があるわけないと思っていました。拉致問題や核問題のためには中国と仲良くし